心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症

2014/05/21更新

 心原性脳塞栓症とは、心臓に出来た塞栓子(血栓、脂肪、空気、腫瘍など)が血流に乗って脳の動脈で詰まって起きる脳梗塞です。
 しかし、実際のところは、塞栓子が心臓からやってきたものと証明することは難しいそうです。突然起こったという発症状況や以前から心疾患をもっていたことにより診断されています。

 

心原性脳塞栓症の症状

 心原性脳塞栓症は突然発症することが特徴的です。比較的太い血管が詰まることが多いので、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞より重症となることが多いです。意識障害、失語症や半盲といった症状がみられます。梗塞の範囲が広いと、脳浮腫という脳が腫れる症状がみられ、命にかかわる状況に陥ります。
 心原性脳塞栓症の場合、まれに一度詰まった血管が再度開通することがあります。発症直後に再度開通した場合は、一過性脳虚血発作(TIA)で済むことがあります。しかし、梗塞が完成した後に再度開通した場合は、その部位に大出血が起こります。これは出血性梗塞というもので症状が重篤化する要因になります。

 

心原性脳塞栓症の原因

 原因となる心疾患は非弁膜性慢性心房細動が圧倒的に多いです。他には発作性心房細動、不整脈、弁膜症、心筋症、心不全などが原因となります。
 非弁膜性慢性心房細動は年齢が高いほど有病率が高く、80歳台の約3割にものぼります。

 

心原性脳塞栓症の治療

 心原性脳塞栓症は比較的発症時刻がはっきりしていることが多く、発症後速やかに病院に行けば、血栓溶解療法(t-PA療法)を受けられることがあります。
 t-PA療法が受けられない場合は、抗脳浮腫剤や抗活性酸素剤の点滴などの治療が行われます。慢性期には抗凝固薬などによる治療が行われます。日常生活が障害される場合は、他の脳梗塞同様リハビリが行われます。
 心原性脳塞栓症は突然発症するものです。60歳以上で心房細動をかかえている人は抗凝固薬による予防を勧められます。

 

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