健康診断で脳卒中の危険因子をチェック

健康診断を受けましょう

2012/03/19更新

 脳卒中の危険因子を調べる項目のほとんどが健康診断に入っています。
 肥満、血圧高値、血糖高値、脂質異常などは放っておくと脳卒中のリスクが高くなるので、これらが発見されると生活習慣の修正を指示されます。改善方法としては、禁煙、減塩、減量があげられます。特に肥満は心血管病を発症することもあります。メタボリックシンドロームに対しては医師が介入し積極的な治療をすることもあります。

 

 また、健康診断では、無症候性脳血管障害などの無症候性(症状が顕れていない)の脳卒中リスクが見つかることがあります。これらが見つかった場合は危険因子対策の徹底とともに、抗血栓療法や外科治療を検討することもあります。

 

 いずれにせよ、定期的に健康診断を受けることは脳卒中の早期発見のためにも重要なことです。

定期健康診断結果の有所見率は上昇傾向

 定期健康診断における有所見率は毎年上昇しています。有所見率とは、定期健康診断の項目に「異常」と認められる所見がある労働者の割合です。
 厚生労働省が発表した「平成23年度定期健康診断結果」によると有所見率は52.7%でした。
 なかでも異常所見の高い項目は血中脂質です。脂質異常症(高脂血症)は、高血圧、高血糖とともに動脈硬化を促進する危険因子です。
 労働者における脳卒中の予備軍が多いことを裏付けるデータです。職場における産業保健活動がとても大切です。

事業者の安全配慮義務と健康診断の受診義務

 健康診断は労働者の健康障害を予防するために重要なものです。事業者は労働者の安全を配慮する義務があり、労働者は健康診断の受診を始めとする労働災害防止に関する措置に協力する義務があり、それぞれ法律に記述があります。
 職場による労働災害を防ぐために、事業者と労働者の双方による協力が、法律的にも定められています。

 

事業者の安全配慮義務

 2008年3月施行の労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)において、次の記述があり、安全配慮義務が初めて明文化されました。

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする

 

 これは次に記した、1975年の最高裁の判例概念を踏襲する形で明文化されたものです。

事業者が労働者に対して負っている労働契約上の債務で、事業者が事業遂行のために施設管理や労務管理にあたり、労働者の生命及び健康などを危険から保護するよう配慮すべき義務

 

労働者の健康診断受診の義務

 労働安全衛生法第4条には、労働者の責務として労働災害防止義務が記されています。

労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するよう努めなければならない

 

 労働安全衛生法第66条第5項には、健康診断の受診義務が記されています。

労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない

 

 労働安全衛生法第66条の7第2項では、保健指導後の健康管理義務が記されています。

労働者は、前条の規定により通知された健康診断の結果及び前項の規定による保健指導を利用して、その健康の保持に努めるものとする

 

 労働安全衛生法第69条の第2項では、健康の保持増進義務が記されています。

労働者は、前項の事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする

 

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