脳梗塞で入院 どんな治療を行う?
2014/05/19更新
救急車で病院に運ばれ、一通りの検査と処置が終わるといよいよ入院です。
急性期の治療
脳梗塞の急性期は症状の進行や再発に注意します。定期的に意識状態や血圧、脈拍、麻痺の程度などを確認します。
急性期の治療ではでは次のようなことを行います。
t-PA療法
t-PAを使える条件に合致すれば血栓溶解療法(t-PA療法)を行います。適用すれば劇的に症状が良くなります。
薬による治療
入院すると、血栓を防ぐ薬を飲み始めます。
脳梗塞の治療の基本は血液を固まりにくくすることです。血液を固まりにくくする薬を用いて治療します。
脳梗塞の原因によって、用いる薬が変わります。いずれにせよ、再発防止の為、薬は生涯に渡って飲み続けることになります。
抗血小板薬
抗血小板薬は、脳の動脈硬化が原因で起こった場合に使われる薬です。
血小板は凝集という出血した場所を防ぐ働きがあります。この働きは血管内でも同様におこります。
この血小板の凝集を抑えるのが抗血小板薬です。血小板が凝集して血栓ができるのを防ぎ、脳梗塞の再発を予防します。
抗血小板薬には、アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールといったものがあります。
抗凝固薬
抗凝固薬は、心臓が原因で起こった場合に使われる薬です。
血液には出血したときに自然に固まる凝固という性質がありあます。
この凝固という性質も血栓の形成に関わっています。これを抑えることで血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発を予防します。
抗凝固薬には、ヘパリン、アルガトロバン、ワーファリン、ダビガトランといったものがあります。
ワーファリンはシビアな量の調節が必要です。
ダビガトランは量の調節は必要ありませんが、飲み忘れに注意する必要があります。
脳梗塞の種類に合わせて薬を選択する
一般的に、ラクナ梗塞に対しては抗血小板薬、アテローム血栓性脳梗塞に対しては抗血小板薬に加えアルガトロバンを使用します。心原性脳塞栓症に対しては抗凝固薬が使われ、急性期にはヘパリン、慢性期にはワーファリンが使われます。
副作用”出血”に要注意する
抗血小板薬と抗凝固薬、いずれの治療においても、出血の副作用には注意しないといけません。胃腸の出血も多いので、その場合は胃薬を併用することがあります。脳から出血した場合は、これは出血性脳梗塞です。これを発症してしまったら、抗血小板薬と抗凝固薬のいずれも使用を中止し、抗浮腫薬やエダラボンといった薬の使用を検討します。
合併症の防止
肺炎や下肢の静脈血栓症などの合併症を起こさないように工夫します。食べ物を吐いて誤嚥性肺炎を合併した場合は、痰を出しやすくするために体位変換したり、管で取るなどのケアを行います。
リハビリの開始
発症からリハビリを始めないで寝ていれば寝ているほど、体が硬くなり症状はひどくなる一方です。ベッドに寝たままで居ると、廃用性筋萎縮という筋力の著しい低下が現れます。
最低でも3日以内。できれば発症当日からリハビリを始めます。これが現代の脳卒中リハビリの常識となっています。早くリハビリを始めた方が回復が早いという研究結果もあります。
もちろん、激しい運動は無理です。関節を伸ばす、腰を掛けるといったところから始めます。
急性期は体の状態が不安定ですから、血圧や心電図モニター、呼吸状態を監視しながら慎重に進めます。
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